米株2023|エネルギーセクターについてもっと知ろう

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エネルギーセクターは、エネルギーの生産、供給、消費に関わる産業です。
エネルギーとは主に石油と天然ガスです。2005年から2019年の間に、米国では石炭による発電が50%から23%に半減し、再生可能エネルギーの使用量が2倍になりました。
天然ガスは2020年にはエネルギー全体の38%を占めています。天然ガスは石炭よりもCO2排出量が少ないため、カーボンニュートラルな未来への移行の「橋渡し」と見なされています。
バイデン大統領は、2035年までに100%カーボン排出フリーの電力を達成することを目指しており、石炭からの脱却やカーボンキャプチャなどの技術への投資を約束しています。
エネルギーセクターはコロナ禍により2021年に大きく成長をしていますが、太陽光、風力、電気自動車などのクリーンエネルギー産業がその成長を牽引しました。

セクターは景気循環サイクルによって異なるパフォーマンスを示します。

米国投資をするための基本の知識となるため、確実にしっかりと身に着けておきましょう。

エネルギーセクターが強い経済状況

エネルギーセクターはインフレ時に高い成長を見せる場合が多いです。

景気は循環します。過去の実績からマクロ経済の視点から体系的に構築されたものがセクターローションと景気サイクルです。

景気サイクルとは、経済が拡大期と収縮期を繰り返す現象のことです。一般的に、景気サイクルは以下の4つのフェーズに分けられます。

景気サイクル
  • 拡大期:経済成長が加速し、失業率が低下し、消費者や企業の信頼感が高まる期間です。このフェーズではシクリカルな景気に敏感なセクターが好調になります。主に素材、工業、一般消費財(耐久消費財)、金融、情報技術などのセクターです。
  • 過熱期:経済成長がピークに達し、インフレ圧力が高まり政策金利が上昇する期間です。このフェーズでは、景気にあまり影響されないディフェンシブなセクターが強くなります。ディフェンシブなセクターには、生活必需品、ヘルスケア、公益事業などが含まれます。
  • 減速期:経済成長が減速し、失業率の上昇で消費者や企業の信頼感が低下する期間です。このフェーズでは、安定的な収益や配当を提供するセクターが支持されます。安定的なセクターには、コミュニケーションサービス(電気通信サービス)、不動産などが含まれます。
  • 収縮期:経済成長がマイナスに転じ、失業率の上昇とインフレ圧力の低下で政策金利が低下する期間です。このフェーズでは、シクリカルなセクターが再び活況を呈します。これは、経済の回復を先取りする投資家の行動によるものです。

経済は景気の強弱と金利の高低によりサイクルしています。

各フェーズで業績が伸びるセクター以下のとおりです。

<拡大期>経済成長
<過熱期>景気が過熱
<過熱期>物価が上がりインフレに
<過熱期>インフレ抑制で金利が上がる
<減速期>景気後退
<収縮期>不況
<収縮期>抑制解除により金利が下がる
<拡大期>景気回復
     経済成長(はじめに戻る)

株価はこの通りに推移しません。これは、投資家や機関が業績が伸びそうな銘柄/セクターを先に仕込んでいるからです。

株式市場は実経済の半年先を読むと言われています。

投資で資産を伸ばすためには、様々な指標を基に半年先のセクターに目を向けるようにしましょう。

実際に株価が伸びるセクターは以下のとおりです。

復習|基本の11セクター

米国の市場は大きく11のセクターに分けられます。

エネルギー
Energy
金融
Financials
生活必需品
Consumer Staples
情報技術
Information Technology
公益事業
Utilities
資本財
Industrials
ヘルスケア
Health Care
素材
Materials
コミュニケーションサービス
Communication Services
一般消費財           
Consumer Discretionary   
不動産
Real Estate

セクターは市場全体を俯瞰的に把握するには非常に優れた指標です。

エネルギーセクターをきちんと理解するために「インダストリーグループ」と「インダストリー」の考え方を学びましょう。

復習|セクターとインダストリーグループとインダストリーの関係

11のセクターは24のインダストリーグループ(産業群)に分けられています。

インダストリーグループは更に69のインダストリーに細分化されます。

インダストリーは更にサブインダストリーに分けれられます。

 最新情報:GICS – グローバル産業分類規格 – MSCI

セクター分類だけで市場を見るだけでも良いですが、経済の状況に応じてインダストリーグループ、インダストリーへと目を落としてみましょう。

セクターとインダストリーについての記事は以下のとおりです。復習しておきましょう。

本題|エネルギーセクターの紹介

米国株のエネルギーセクターとその下位グループは以下の通りです。

セクターのインダストリーを知っておくと、米国株の銘柄を調べたり分散投資をしたりするときに便利です。また、エネルギーセクターやインダストリーグループに連動するETFもありますので紹介させていただきます。

エネルギーセクター Energy

主に、石油、ガス探査・開発、ガス精製・販売、ガス貯蔵・輸送などの業種が含まれるセクターです。石油やガスの需要や価格に影響を受けやすくインフレに強いセクターです。精製所の稼働率や在庫量も重要な指標です。

■エネルギー Energy
エネルギー機器&サービス Energy Equipment & Services

石油やガスの探査や生産に必要な機器やサービスを提供する企業です。掘削装置やパイプライン、ポンプ、バルブなどの機器や、掘削や測定、試験などのサービスがあります。

石油・ガス・消耗品燃料 Oil, Gas & Consumable Fuels

石油やガスを精製して、ガソリンやディーゼル、灯油などの燃料にする企業です。

代表的な銘柄:マラソン・ペトロリウム(MPC)、フィリップス66(PSX)、バレロ・エナジー(VLO)

■エネルギーセクターに連動するETF

 エナジー・セレクト・セクターSPDRファンド(XLE):ステート・ストリート社

 iシェアーズ グローバル・エネルギー ETF(IXC): ブラックロック社

 バンガード・エナジーETF(VDE):バンガード社

ETFは各社で構成銘柄と比率が異なりますので、購入前に確認しておきましょう。

インダストリーグループ|エネルギー

エネルギーセクターのインダストリーグループは「エネルギー」しかありません。そのため、セクター=インダストリーグループとなります。

スーパーメジャー

スーパーメジャーとは、世界を代表する石油・天然ガスの探鉱、生産、精製、販売などを垂直統合で行う巨大企業のことです。現在、スーパーメジャーと呼ばれるのは以下の6社です。

エクソンモービル(XOM):アメリカの石油会社

シェブロン(CVX):アメリカの石油会社

コノコ・フィリップス(COP):アメリカの石油会社で世界最大の独立系探鉱生産会社

トタルエナジーズ(TTE):フランスの石油会社

ロイヤル・ダッチ・シェル(SHEL):オランダとイギリスの資本で構成される石油会社

ブリティッシュ・ペトロリアム(BP):イギリスの石油会社

インダストリー | エネルギー機器&サービス

エネルギー機器&サービスのインダストリーには以下のサブインダストリーで構成されます。

(銘柄紹介では同一銘柄が頻発するのでスーパーメジャーを除いています。)

エネルギー機器&サービスインダストリーに連動するETF

 SPDR石油&ガス設備&サービスETF(XES):ステート・ストリート社

 iシェアーズ 米国石油設備&サービス ETF(IXC): ブラックロック社

・石油・ガス採掘 Oil & Gas Drilling

石油、ガスの掘削請負業者または掘削リグを所有する会社です。

石油・ガス採掘は、陸上掘削とオフショア掘削の2つのタイプがあります。

陸上掘削は、地上に設置された掘削リグを用いて地下の油田やガス田にアクセスする方法です。

オフショア掘削は、海上に設置された掘削プラットフォームや船舶を用いて海底の油田やガス田にアクセスする方法です。

 ■代表的な銘柄

  陸上掘削:ヘルメリック&ペイン(HP)、パターソン・ユーティ・エナジー(PTEN)

  オフショア掘削:トランスオーシャン(RIG)、ダイヤモンドオフショアドリリング(DO)

・石油・ガス機器およびサービス Oil & Gas Equipment & Services

石油・天然ガスの採掘に必要な機器やサービスを提供します。

 ■代表的な銘柄

 ベーカー・ヒューズ(BKR)、ハリバートン(HAL)、スランベルジェ(SLB)

インダストリー | 石油・ガス・消耗品燃料

石油・ガス・消耗品燃料のインダストリーには以下のサブインダストリーで構成されます。

石油・ガス・消耗品燃料インダストリーに連動するETF

 SPDR石油・ガス探鉱生産ETF(XOP):ステート・ストリート社

 iシェアーズ 米国石油ガス探査生産ETF(IEO): ブラックロック社

・統合された石油・天然ガス Integrated Oil & Gas

石油・ガスの探鉱、生産、精製、販売などを垂直統合で行う巨大企業のことです。

 ■代表的な銘柄

  マラソンペトリアム(MPC)、エクイノール(EQNR)

・石油・ガス探査及び生産 Oil & Gas Exploration & Production

石油・ガスの探鉱・探査や生産を行う企業です。

 ■代表的な銘柄

  パイオニアナチュラルリソーシズ(PXD)、EOGリソーシズ(EOG)、オクシデンタル・ペトロリアム(OXY)

・石油・ガスの精製とマーケティング Oil & Gas Refining & Marketing

石油、ガス及び精製製品の精製およびマーケティングに従事する企業です。

 ■代表的な銘柄

  アルコ(ARKO)、ブルードルフィンエネルギー(BDCO)、PBFエネルギー(PBF)

・石油・ガスの貯蔵と輸送 Oil & Gas Storage & Transportation

石油、ガス、および精製製品の保管および輸送に従事する企業です。パイプラインや、石炭スラリー、も含まれます。

 ■代表的な銘柄

  ウィリアムズ(WMB)、エンブリッジ(ENB)、ギブソンエネルギー(GEI)

・石炭及び消耗燃料 Coal & Consumable Fuels

エネルギーの生成に関連する石炭、関連製品、およびその他の消耗性燃料の生産と採掘に関与する企業です。

 ■代表的な銘柄

チャイナシェンファエネルギー(CSUAY)、カメコ(CCJ)、ピーボディエネルギー(BTU)


以上が米国株のエネルギーセクターについての説明です。

ただし、これらの関係は必ずしも一定ではなく、時代や事情によって変化します。

投資判断を行う際には、他の要因も考慮し、複数の情報収集窓口を持つようにしましょう。

では、良い投資ライフを。

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