米国の経済は右肩上がりに成長しています。しかし、常に全体が上がるのではなく、景気によって上がりやすいセクターが決まっています。
セクターとは、事業内容や特徴が似ている企業の集まりです。
景気サイクルによってそれぞれのセクターは異なるパフォーマンスを示します。
米国投資をするための基本の知識となるため、確実にしっかりと身に着けておきましょう。
基本の11セクターとは
米国の市場は大きく11のセクターに分けられます。
エネルギー Energy | 金融 Financials |
生活必需品 Consumer Staples | 情報技術 Information Technology |
公益事業 Utilities | 資本財 Industrials |
ヘルスケア Health Care | 素材 Materials |
コミュニケーションサービス Communication Services | 一般消費財 Consumer Discretionary |
不動産 Real Estate | |
セクターは市場全体を俯瞰的に把握するための非常に優れた指標です。一方で、「この企業とあの企業が同じセクターなのか」と思うほど現代社会の業態は幅広く複雑化しています。
「●●銀行」と聞くと「金融セクターだ」とイメージしやすいものもある一方、「マクドナルド」と「テスラ」と「アマゾン」が同一セクターであることに疑問を感じるかもしれません。
セクターをきちんと理解するために「インダストリーグループ」と「インダストリー」の考え方を学びましょう。
参考にGAFAMTを見てみましょう。これらBig Tech企業は以下の3つに分類されます。
Google(alphabet):コミュニケーションサービスセクター
Apple:情報技術セクター
Facebook(META):コミュニケーションサービスセクター
Amazon:一般消費財セクター
Microsoft:情報技術セクター
Tesla:一般消費財セクター
Memo1 ■ セクター分類の歴史
米国株の銘柄は、事業内容によってセクターと呼ばれるカテゴリーに分類されています。
このセクターの分類は世界産業分類基準(GICS)というもので、米国の格付け会社であるS&P(Standard & Poor’s)と、機関投資家向けに指数や投資分析ツールを提供するMSCI(Morgan Stanley Capital International)によって定められたものです 。
GICSは1999年に導入されて以来、何度も改訂されており、現在は11のセクターに分けられています 。直近では2018年に通信サービスセクターが再編され、コミュニケーションサービスセクターが設けられました。日本では不動産セクターを除く10セクターとして扱われることもあります。
Memo2 ■ GAFA? Big Tech?
「GAFA」は、Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字を取った言葉で、日本で使われている和製英語のような単語です。米国ではこれら企業を「Big Tech」と呼んでいます。Big Techは、GAFAに加えてMicrosoftやNetflix、Nvidia、Teslaなども含まれて使われます。これは2010年代の時代を牽引をしたGAFAMと2020年代でGAFAMに匹敵する成長をした企業群であり、より時代に沿った命名と言えます。
Big Techは最新の情報技術を持ち、市場や社会に大きな影響力を持っています。
セクターとインダストリーグループとインダストリーの関係
11のセクターは24のインダストリーグループ(産業群)に分けられています。
インダストリーグループは更に69のインダストリーに細分化されます。
インダストリーは更にサブインダストリーに分けれられます。(このページでは割愛します)
最新情報:GICS – グローバル産業分類規格 – MSCI
セクター Sector
■インダストリーグループ Industry Group
■インダストリーグループ Industry Group
セクター分類で市場を見るだけでも良いですが、経済の状況に応じてインダストリーグループ、インダストリーへと目を落としてみましょう。
例えば、コロナ禍で旅行が制限されたことを思い出しましょう。資本財セクターのインダストリーグループ「運輸」のインダストリー「旅客航空」に目を向けることができれば、世の中の動きをより明瞭に把握することができます。
各セクターの紹介
米国株のセクターとその下位の業種グループは以下の通りです。
エネルギーセクター
エネルギーセクター Energy
主に、石油、ガス探査・開発、ガス精製・販売、ガス貯蔵・輸送などの業種が含まれるセクターです。石油やガスの需要や価格に影響を受けやすく、インフレに強いセクターです。精製所の稼働率や在庫量も重要な指標です。
■エネルギー Energy
エネルギー機器&サービス Energy Equipment & Services
石油やガスの探査や生産に必要な機器やサービスを提供する企業です。掘削装置やパイプライン、ポンプ、バルブなどの機器や、掘削や測定、試験などのサービスがあります。
代表的な銘柄:エクソンモービル(XOM)、ベーカー・ヒューズ(BKR)、ハリバートン(HAL)
石油・ガス・消耗品燃料 Oil, Gas & Consumable Fuels
石油やガスを精製して、ガソリンやディーゼル、灯油などの燃料にする企業です。
代表的な銘柄:マラソン・ペトロリウム(MPC)、フィリップス66(PSX)、バレロ・エナジー(VLO)
セクターのより詳細な情報は以下の記事を参照ください。
素材セクター
素材セクター Materials
主に特殊化学品、工業用ガス、包装紙、基礎科学品、肥料、鋼鉄、塗料などの素材を取り扱っているセクターです。景気拡大は素材や化学品などの需要が高まり、景気が悪化すると需要が減少しやすいため、景気循環に敏感なセクターです。
また、ボラティリティが高い(価格変動が大きい)セクターでもあります。これは、原油や金属などのコモディティ価格の変動に影響を受けやすいためです。コモディティ価格は、供給と需要のバランスや地政学的なリスクなどによって大きく変動することがあります。素材セクターはコモディティ価格の動向に注意する必要があります。
安定したキャッシュフローを生み出しす企業が多く、株主への還元を重視し配当利回りが高いセクターでもあります。
■素材 Materials
化学 Chemicals
石油や天然ガスなどの原料を加工して、プラスチックや合成繊維、医薬品、農薬、塗料などの製品を作る企業です。
代表的な銘柄:ダウ・ケミカル(DOW)、デュポン(DD)、バーゼル(BAS)
建設資材 Construction Materials
建設や工事に使われる資材や部品を製造・販売する企業です。セメントやコンクリート、石材や鉄鋼、木材やパネル、塗料や接着剤などがあります。
代表的な銘柄:ルイジアナパシフィック (LPX)、バルカン・マテリアルズ (VMC)、アルベマール (ALB)
容器・包装 Containers & Packaging
食品や医薬品などの製品を保護したり、消費者に情報を伝えたりするために使用される材料や製品に係る企業です。
代表的な銘柄:ボール(BLL)、クラウン(CCK)、ウェストロック(WRK)
金属・鉱業 Metals & Mining
金属や鉱物などの採掘や精錬を行う企業です。
代表的な銘柄:フリーポート・マクモラン(FCX)、ニューモント(NEM)、バラック・ゴールド(GOLD)
紙・森林製品 Paper & Forest Products
木材や紙などの製品を製造する企業です。
代表的な銘柄:インターナショナル・ペーパー(IP)、ウェストロック(WRK)、ドミター・パッケージング(UFS)
資本財セクター
資本財セクター Industrials
資本財と呼ばれる商品やサービスを製造または流通させるセクターです。資本財とは、他の商品やサービスを生産するために使われる機械や設備、建物や車両、工具などのことです。経済が好調なときは資本財の需要が高まりますが、経済が不安定なときは資本財の需要が低下しやすいため、景気変動に敏感なセクターです。
工業セクターとも呼ばれます。
■資本財 Capital Goods
航空宇宙・防衛 Aerospace & Defense
航空宇宙や防衛関連の製品やサービスを提供する企業です。政府の予算や軍事紛争などに影響を受けやすいです。
代表的な銘柄:ロッキード・マーティン(LMT)、レイセオン(RTX)、ボーイング(BA)
建築製品 Building Products
住宅や商業施設などの建築に必要な製品やサービスを提供する企業です。住宅市場やインフラ投資などに影響を受けやすいです。
代表的な銘柄:マスコ(MAS)、レノックス(LII)、シェリン・ウィリアムズ(SHW)
建設・エンジニアリング Construction & Engineering
住宅や商業施設、インフラなどの建設やエンジニアリングサービスを提供する企業です。
代表的な銘柄:フルール(FLR)、ジェイコブス・エンジニアリング(J)、ケイディ・アンド・ホワイト(PWR)
電気機器 Electrical Equipment
電気機器や電子部品などの製造・販売を行う企業です。
代表的な銘柄:ジェネラル・エレクトリック(GE)、エマソン・エレクトリック(EMR)
ロックウェル・オートメーション(ROK)
複合企業 Industrial Conglomerates
複数の異なる産業にまたがって事業を展開する企業です。様化した事業ポートフォリオによってリスクを分散させるとともに、市場や技術の変化に対応する柔軟性を持っています。
代表的な銘柄:ジェネラル・エレクトリック(GE)、ハネウェル・インターナショナル(HON)、3M(MMM)
機械 Machinery
農業や建設、工業などの機械や装置を製造・販売する企業です。BtoBビジネスをメインとしています。
代表的な銘柄:キャタピラー(CAT)、ディア・アンド・カンパニー(DE)、イリノイ・ツール・ワークス(ITW)
貿易会社・流通業者 Trading Companies & Distributors
さまざまな製品や資材を仕入れて販売する企業です。グローバルな市場や競争環境に適応する能力、需要や価格の変動に対応するための在庫管理や物流ネットワークの強化をおこなっています。
代表的な銘柄:ファーストナル(FAST)、ウェスコ・インターナショナル(WCC)、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(APD)
■コマーシャル&プロフェッショナルサービス Commercial & Professional Services
コマーシャルサービス&サプライ Commercial Services & Supplies
オフィス用品や環境サービス、セキュリティサービスなど、さまざまな商業サービスや用品を提供する企業です。
代表的な銘柄:ワシントン・ポスト(WPO)、リパブリック・サービス(RSG)、ウェイスト・マネジメント(WM)
プロフェッショナルサービス Professional Services
コンサルティングや会計、法律など、専門的なサービスを提供する企業です。BtoBビジネスをメインとしています。
代表的な銘柄:アクセンチュア(ACN)、デロイト(DLT)、PwC(PWC)
■運輸 Transportation
航空貨物&ロジスティクス Air Freight & Logistics
航空貨物や物流サービスを提供する企業です。
代表的な銘柄:フェデックス(FDX)、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、DHL(DHL)
旅客航空 Passenger Airlines
航空会社や航空関連サービスを提供する企業です。旅行需要やビジネス需要に左右される景気敏感性があります。
代表的な銘柄:デルタ航空(DAL)、アメリカン航空(AAL)、ユナイテッド航空(UAL)
海上輸送 Marine Transportation
海上で貨物や旅客を輸送するサービスを提供する企業です。国際貿易の大部分が海上で行われています。
代表的な銘柄:マトソン(MATX)、ダナオス(DAC)、インターナショナル・シーウェイズ(INSW)
陸上輸送 Ground Transportation
道路や鉄道を利用した輸送サービスを提供する企業です。物流需要や景気動向、燃料費や人件費などのコスト高に左右されます。
代表的な銘柄:ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、フェデックス(FDX)、ユニオン・パシフィック(UNP)
交通インフラ Transportation Infrastructure
空港や港湾、高速道路などの輸送インフラを運営・管理する企業です。輸送需要や景気動向、インフラ整備や更新にかかるコスト高に左右されます。
代表的な銘柄:アトランタ・ハーツフィールド・ジャクソン国際空港(ATL)、ロサンゼルス国際空港(LAX)、ニューヨーク港(NYNJ)
一般消費財セクター
一般消費財セクター Consumer Discretionary
自動車やアパレル、レジャー用品、ホテルレストランなど、消費者向け小売業・製造業・サービス業を展開するセクターです。景気に左右される傾向があり、馴染みなる銘柄が多いことが特長です。
■自動車・自動車部品 Automobiles & Components
自動車部品 Automobile Components
自動車の部品や装備品を製造、再製造、流通、販売、組み立てる企業です。米国では、自動車のアフターマーケットと呼ばれる二次市場に属しています。
代表的な銘柄:マグナ・インターナショナル(MGA)、ボルグワーナー(BWA)、リアー(LEA)
自動車 Automobiles
自動車の製造、販売、輸出を行う業界です。米国は中国に次ぐ世界で2番目に大きな自動車市場です。電気自動車や自動運転などの新しい技術やトレンドに対応するため、多くの研究開発や投資が行われています。
代表的な銘柄:ジェネラルモーター(GM)、テスラ(TSLA)、トヨタ(TM)
■耐久消費財&衣料品 Consumer Durables & Apparel
家庭用耐久消費財 Household Durables
消費者向けの耐久財を製造する企業です。長期間使われる商品のことで、例えば家電製品、家具、住宅建設などがあります。
代表的な銘柄:ワールプール(WHR)、iロボット(IRBT)、ソニーグループ(SONY)
レジャー製品 Leisure Products
消費者向けのレジャー用品を製造する企業です。玩具、ゲーム、スポーツ用品、楽器、自転車などがあります。
代表的な銘柄:ハズブロ(HAS)、マテル(MAT)、アクティビジョン・ブリザード(ATVI)
テキスタイル、衣料品&高級品 Textiles, Apparel & Luxury Goods
繊維、衣料品、高級品を製造する企業です。消費者の好みやトレンドに応じて商品のカスタマイズしたり、サプライチェーンの透明性や労働人権の保護などの社会的な課題にも対応する必要があります。
代表的な銘柄:ナイキ(NKE)、ルルレモン・アスレティカ(LULU)、ラルフローレン(RL)
■消費者サービス Consumer Services
ホテル、レストラン、レジャー Hotels, Restaurants & Leisure
宿泊、飲食、娯楽を提供する企業です。
代表的な銘柄:マリオット(MAR)、マクドナルド(MCD)、スターバックス(SBUX)
その他消費者サービス Diversified Consumer Services
消費者向けの多様なサービスを提供する企業です。例教育、住宅、人材、法律、娯楽などのサービスがあります。オンラインツールやプラットフォームが利用されることも特長です。
代表的な銘柄:グランド・キャニオン・エデュケーション(LOPE)、チェグ(CHGG)、
サービスコーポレーションインターナショナル(SCI)
■小売業 Retailing
代理店 Distributors
製品やサービスを製造者から消費者や小売業者に流通させる企業です。食品、飲料、医薬品、工業用品、電気機器などの様々な分野があります。
代表的な銘柄:シスコ(SYY)、マッケソン(MCK)、ジェニュイン・パーツ(GPC)
インターネット、ダイレクトマーケティング小売 Internet & Direct Marketing Retail
インターネットやメールオーダー、テレビ通販などのチャネルを通じて消費者に商品やサービスを提供する企業です。オンラインマーケットプレイス、オンラインゲームが該当します。
代表的な銘柄:アマゾン(AMZN)、イーベイ(EBAY)、ネットフリックス(NFLX)
マルチライン小売 Multiline Retail
デパートや総合商品店など、多様な商品を販売する店舗を運営する企業です。
代表的な銘柄:コールズ(KSS)、メイシーズ(M)、メルカリ(MCARY)
専門小売 Specialty Retail
特定の商品やサービスを販売する店舗を運営する企業です。自動車、家電、家具、書籍、衣料品、宝飾品などの商品やサービスがあります。
代表的な銘柄:オートゾーン(AZO)、ベストバイ(BBY)、ホームデポ(HD)
生活必需品セクター
生活必需品セクター Consumer Staples
■食品・日用品小売業 Food & Staples Retailing
食品・日用品小売業 Food & Staples Retailing
食品、飲料、タバコ、家庭用品、個人用品などの生活必需品を販売する企業です。特に、スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストアなどの小売店をカバーしています。
代表的な銘柄:ウォルマート (WMT)、コストコ(COST)、クローガー(KR)
■飲料、食品、たばこ Food, Beverage & Tobacco
飲料 Beverages
アルコール飲料とノンアルコール飲料を生産・流通する企業です。
代表的な銘柄:コカ・コーラ(KO)、ペプシコ(PEP)、モンスタービバレッジ(MNST)
食品 Food Products
農産物や加工食品、肉製品などの食品を生産・流通する企業です。
代表的な銘柄:インドゥストリアス・バチョコ(IBA)、ジョンB. サンフィリッポ&サン(JBSS)、ホステス・ブランズ(TWNK)
たばこ Tobacco
タバコや電子タバコなどの製品を生産・流通する企業です。規制強化などの要因で喫煙率が低下していますが高い利益率と配当利回りを持つ企業が多いです。
代表的な銘柄:アルトリアグループ(MO)、フィリップモリスインターナショナル(PM)、ブリティッシュアメリカンタバコ(BTI)
■家庭用品・個人用品 Household & Personal Products
家庭用品 Household Products
家庭用品や個人用品などの製品を生産・流通する企業です。洗剤やトイレ用品、日用品などが該当します。利益率高くブランド力が強い企業が多いです。
代表的な銘柄:プロクター&ギャンブル(PG)、クロレックス(CLX)、チャーチ&ドワイト(CHD)
個人用品 Personal Products
化粧品やスキンケア製品などの美容用品や、香水やデオドラントなどの香り付き製品を生産・流通する企業です。
代表的な銘柄:エスティローダー(EL)、ロレアル(LRLCY)、コティ(COTY)
ヘルスケアセクター
ヘルスケアセクター Health Care
ヘルスケアセクターは、医療や健康に関わる産業です。人々の健康や生命を守るサービスや製品は、いつの時代でも需要があります。長期的に優れたリターンを発揮しています。そのため、不況に強く、景気に左右されないディフェンシブなセクターです。S&P500指数を上回る実績があり、1957年から2012年までのセクター別実質リターンではトップの結果を出すセクターでした。
■ヘルスケア機器・サービス Health Care Equipment & Services
ヘルスケア機器&ヘルスケア用品 Health Care Equipment & Supplies
医療機器や医療用品などの製品を生産・流通する企業です。FDAなどの規制機関からの承認や許可が必要であり研究開発投資が重要です。
代表的な銘柄:サーモフィッシャーサイエンティフィック(TMO)、メドトロニック(MDT)、アボットラボラトリーズ(ABT)
医療従事者とサービス Health Care Providers & Services
医療サービスや健康保険などのサービスを提供する企業です。医療サービスとは、病院や診療所などの医療施設で診断や治療などの医療行為を行います。
代表的な銘柄:ユナイテッドヘルス(UNH)、CVSヘルスグループ(CVS)、シグナ(CI)
医療技術 Health Care Technology
医療や健康に関する情報やサービスを提供する企業です。電子カルテや医療データベース、オンライン診療サービスがあります。
代表的な銘柄:テラドッグヘルス(TDOG)、サーナー(CERN)、ヴィーバ・システムズ(VEEV)
■医薬品、バイオテクノロジー、生命科学 Pharmaceuticals, Biotechnology & Life Sciences
バイオテクノロジー Biotechnology
生物学や遺伝子工学などの技術を用いて、医薬品やワクチンなどの製品を開発する企業です。FDAなどの規制機関からの承認や許可が必要であり研究開発投資が重要です。
代表的な銘柄:バイオンテック(BNTX)、モデルナ(MRNA)、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(REGN)
医薬品 Pharmaceuticals
化学物質や生物学的物質を用いて、医薬品やワクチンなどの製品を開発する企業です。FDAなどの規制機関からの承認や許可が必要であり研究開発投資が重要です。
代表的な銘柄:ファイザー(PFE)、メルク(MRK)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)
生命科学ツール&サービス Life Sciences Tools & Services
生命科学(ライフサイエンス)や医療に関する研究や開発を支援する機器やサービスを提供する企業です。
代表的な銘柄:サーモフィッシャーサイエンティフィック(TMO)、ダナハー(DHR)、ロンザ(LZAGY)
セクターのより詳細な情報は以下の記事を参照ください。
金融セクター Financials
■銀行 Banks
銀行 Banks
預金や貸付などの銀行業務を行う企業です。個人や法人に対して、資金の預かりや貸し出し、送金や決済などのサービスを提供します。
代表的な銘柄:JPモルガンチェース(JPM)、バンクオブアメリカ(BAC)、シティグループ(C)
■金融サービス Financial Services
金融サービス Financial Services
銀行業務や保険業務などの金融サービスを提供する企業です。個人や法人に対して、資金の預かりや貸し出し、投資や証券、資産運用や保険などのサービスを提供します。
代表的な銘柄:バークシャーハサウェイ(BRL.B)、USバンコープ(USB)、アメリカンエクスプレス(AXP)
消費者金融 Consumer Finance
個人向けにクレジットカードや消費者ローンなどの金融サービスを提供する企業です。個人の購買力や資産形成を支援するサービスであり、自動車や教育や住宅などの購入や改修に用いられることが多いです。
代表的な銘柄:キャピタルワンファイナンス(COF)、ディスカバーファイナンシャルサービシズ(DFS)、シンクロニーファイナンシャル(SYF)
資本市場 Capital Markets
資本市場に関するサービスを提供する企業です。株式や債券などの有価証券の発行や取引が行われ、企業や政府が資金調達を行い投資家が投資機会を得る場です。
代表的な銘柄:モルガンスタンレー(MS)、ゴールドマンサックス(GS)、チャールズシュワブ(SCHW)
不動産投資信託 Mortgage Real Estate Investment Trusts (REITs)
住宅ローン、商業用抵当借入のサービス、組成、購入、証券化を行う会社です。住宅ローン担保証券やその他の住宅ローン関連資産に投資する信託も含まれます。
代表的な銘柄:アナリーキャピタルマネジメント(NLY)、AGNCインベストメント(AGNC)、スターウッドプロパティトラスト(STWD)
■保険 Insurance
保険 Insurance
生命保険、損害保険、再保険、多岐にわたる保険などの製品を販売する企業です。景気に左右されにくい安定したビジネスです。
代表的な銘柄:メットライフ(MET)、マーケル(MKL)、ユナイテッドヘルス(UNH)
セクターのより詳細な情報は以下の記事を参照ください。
情報技術セクター
情報技術セクター Information Technology
■ソフトウェア・サービス Software & Services
ITサービス IT Services
コンピュータシステムの設計、開発、運用、保守などのサービスを提供する企業です。技術革新によって成長しており、多様な産業や顧客に対応できる柔軟性とスケーラビリティを持っています。
代表的な銘柄:CGI(GIB)、アムドックス(DOX)、サイエンスアプリケーションズインターナショナル(SAIC)
ソフトウェア Software
ンピュータやモバイルなどのデバイスで動作するソフトウェアやアプリケーションを開発、販売、提供する企業です。クラウドコンピューティングや人工知能などの技術革新によって成長しています。
代表的な銘柄:マイクロソフト(MSFT)、アドビ(ADBE)、ズーム(ZM)
■ハードウェア・機器 Technology Hardware & Equipment
通信機器 Communications Equipment
電話やインターネットなどの通信ネットワークに必要な機器や技術を開発、製造、販売する企業です。5Gやクラウドなどの技術革新によって成長しています。
代表的な銘柄:シスコシステムズ(CSCO)、ノキア(NOK)、ハーモニック(HLIT)
ハードウェア、ストレージ、周辺機器 Technology Hardware, Storage & Peripherals
コンピュータやモバイルなどのデバイスや、データを保存するためのストレージや、キーボードやマウスなどの周辺機器を開発、製造、販売する企業です。
代表的な銘柄:アップル(AAPL)、サムスン電子(SSNLF)、ウエスタンデジタル(WDC)
電子機器、計器および部品 Electronic Equipment, Instruments & Components
コンピュータや通信などの分野で使用される電子機器や計測器や部品を開発、製造、販売する企業です。
代表的な銘柄:キーサイトテクノロジーズ(KEYS)、コルゲートパーマー(CPRT)、ティーエックスエヌ(TXN)
■半導体・半導体装置 Semiconductors & Semiconductor Equipment
半導体・半導体装置 Semiconductors & Semiconductor Equipment
コンピュータや通信などの分野で使用される半導体や集積回路などの素子や、それらを製造するための機器や技術を開発、製造、販売する企業です。
代表的な銘柄:インテル(INTC)、エヌビディア(NVDA)、アプライドマテリアルズ(AMAT)
コミュニケーションサービスセクター
コミュニケーションサービスセクター Communication Services
■通信サービス Telecommunication Services
多様化通信サービス Diversified Telecommunication Services
固定電話や携帯電話などの通信サービスや、インターネットやテレビなどのメディアサービスを提供する企業です。5Gやストリーミングなどの技術革新によって成長しています。
代表的な銘柄:ベライゾンコミュニケーションズ(VZ)、AT&T(T)、コムキャスト(CMCSA)
無線通信サービス Wireless Telecommunication Services
携帯電話やインターネットなどの無線通信サービスを提供する企業です。
代表的な銘柄:ベライゾンコミュニケーションズ(VZ)、AT&T(T)、T-モバイルUS(TMUS)
■メディア・エンターテイメント Media & Entertainment
メディア Media
映画やテレビ番組や音楽などのコンテンツを制作、配信、販売する企業です。ストリーミングやソーシャルメディアなどの技術革新によって変化しています。
代表的な銘柄:ウォルト・ディズニー(DIS)、ネットフリックス(NFLX)、コムキャスト(CMCSA)
エンターテイメント Entertainment
映画やテレビ番組や音楽などのコンテンツを制作、配信、販売する企業です。
代表的な銘柄:ウォルト・ディズニー(DIS)、ネットフリックス(NFLX)、イマックス(IMAX)
インタラクティブメディア&サービス Interactive Media & Services
インターネットやソーシャルメディアなどのオンラインプラットフォームを提供する企業です。高い利用者数と広告収入を持っています。
代表的な銘柄:アルファベット(GOOG)、メタプラットフォームズ(META)、テンセントホールディングス(TCEHY)
セクターのより詳細な情報は以下の記事を参照ください。
公益事業セクター
公益事業セクター Utilities
■公益事業 Utilities
電力 Electric Utilities
発電や送電や配電などの電力サービスを提供する企業です。
代表的な銘柄:ネクステラ・エナジー(NEE)、デューク・エナジー(DUK)、サザン・カンパニー(SO)
ガス Gas Utilities
天然ガスやプロパンガスなどのガスサービスを提供する企業です。化石燃料と再生可能エネルギーの間の橋渡しとしての役割を果たしています。
代表的な銘柄:チェニエアエナジー(LNG)、ウィリアムズ・カンパニーズ(WMB)、EQTコーポレーション(EQT)
マルチユーティリティ Multi-Utilities
電力やガスや水などの複数の公益事業サービスを提供する企業です。多様な収益源と低い事業リスクを持っています。
代表的な銘柄:ドミニオン・エナジー(D)、センプラ(SRE)、ナショナル・グリッド(NGG)
水道 Water Utilities
水道水や下水処理などのサービスを提供するユーティリティ部門と、ユーティリティや他の消費者に対して契約ベースで水関連サービスを提供する一般サービス部門に分かれています。
代表的な銘柄:アメリカンウォーターワークスカンパニー(AWK)、エッセンシャルユーティリティズ(WTRG)、カリフォルニアウォーターサービスグループ(CWT)
独立系電力および再生可能エネルギー供給 Independent Power and Renewable Electricity Producers
電力を自社で発電し、電力市場に売却する企業です。独立系発電事業者は、再生可能エネルギー源や天然ガスなどのクリーンエネルギーを利用しています。
代表的な銘柄:ネクステラエナジー(NEE)、AESコーポレーション(AES)、NRGエナジー(NRG)
不動産セクター
不動産セクター Real Estate
■エクイティ不動産投資信託(REIT) Equity Real Estate Investment Trusts (REITs)
エクイティ不動産投資信託(REIT) Equity Real Estate Investment Trusts (REITs)
不動産を所有し、賃貸収入や資産売却益を投資家に分配する企業です。オフィス、アパート、ホテル、ショッピングセンターなどの特定の不動産セクターに特化しています。
代表的な銘柄:アメリカンタワーコーポレーション(AMT)、プロロジス(PLD)、エクイニクス(EQIX)
■不動産の管理と開発 Real Estate Management & Development
不動産の管理と開発 Real Estate Management & Development
不動産の開発、管理、運営、仲介などのサービスを提供する企業です。オフィス、住宅、商業施設などの不動産プロジェクトに関与しています。
代表的な銘柄:CBRE グループ(CBRE)、ジョーンズラングラサール(JLL)、ブルックフィールドアセットマネジメント(BAM)
これらのセクターやインダストリーグループを知っておくと、米国株の銘柄を調べたり分散投資をしたりするときに便利です。また、各セクターや業種グループに連動するETFもありますので、興味があればチェックしてみてください。
景気サイクルとは
景気サイクルとは、経済が拡大期と収縮期を繰り返す現象のことです。一般的に、景気サイクルは以下の4つのフェーズに分けられます。
景気サイクル
- 拡大期:経済成長が加速し、失業率が低下し、消費者や企業の信頼感が高まる期間です。このフェーズではシクリカルな景気に敏感なセクターが好調になります。主に素材、工業、一般消費財(耐久消費財)、金融、情報技術などのセクターです。
- 過熱期:経済成長がピークに達し、インフレ圧力が高まり政策金利が上昇する期間です。このフェーズでは、景気にあまり影響されないディフェンシブなセクターが強くなります。ディフェンシブなセクターには、生活必需品、ヘルスケア、公益事業などが含まれます。
- 減速期:経済成長が減速し、失業率の上昇で消費者や企業の信頼感が低下する期間です。このフェーズでは、安定的な収益や配当を提供するセクターが支持されます。安定的なセクターには、コミュニケーションサービス(電気通信サービス)、不動産などが含まれます。
- 収縮期:経済成長がマイナスに転じ、失業率の上昇とインフレ圧力の低下で政策金利が低下する期間です。このフェーズでは、シクリカルなセクターが再び活況を呈します。これは、経済の回復を先取りする投資家の行動によるものです。
経済は、下記の通り景気の強弱と金利の高低によりサイクルしています。
景気サイクルの各フェーズで業績が伸びるセクター以下のとおりです。
<拡大期>経済成長
<過熱期>景気が過熱
<過熱期>物価が上がりインフレに
<過熱期>インフレ抑制で金利が上がる
<減速期>景気後退
<収縮期>不況
<収縮期>抑制解除により金利が下がる
<拡大期>景気回復
経済成長(はじめに戻る)
但し、株価はこの通りに推移しません。これは、投資家や機関が業績が伸びそうな銘柄/セクターを先に仕込んでいるからです。
株式市場は実経済の半年先を読むと言われています。
投資で資産を伸ばすためには、様々な指標を基に半年先のセクターに目を向けるようにしましょう。
実際に株価が伸びるセクターは以下のとおりです。
景気の動向を把握した上で、景気の局面変化ごとに有望なセクターに投資対象を切り替えていく投資戦略のことをセクターローテーションと言います。
以上が米国株の11セクターと景気サイクルの関係についての説明です。ただし、これらの関係は必ずしも一定ではなく、時代や事情によって変化します。
投資判断を行う際には、他の要因も考慮し、複数の情報収集窓口を持つようにしましょう。
では、良い投資ライフを。